気温がだいぶ低くなり、冬へのカウントダウンが始まったようにも感じられます。ようやくおたふく、マイコプラズマ肺炎も一段落してきましたが、11月に入ると胃腸炎も流行してきます。今年は、地域全体で嘔吐下痢症の流行が昨年よりも早まっているようです。これからさらに冷え込むので、今まで以上に体調を崩しやすくなる時期です。感染予防は、うがい・手洗い以外にも、疲れを貯めないことも大切です。睡眠・食事はもちろん、体力づくりや感染予防にもご家庭でとりくんでみてください。
ただの嘔吐?ただの下痢?
子どもの下痢で一番多いのは、感染症によるものだといわれています。流行性嘔吐下痢症や感染性胃腸炎などと呼ばれますが、受診の際には「ウイルス性のおなかの風邪」と、おうちの方に分かりやすく説明されることも多いと思います。ウイルスによる感染性胃腸炎は「感染性=うつる」病気です。
保護者の方の中には、「下痢だけで元気です。」や「昨日何回か吐いたけど今日は吐いていません。」というような表現をされる方もいますが、実は下痢便や嘔吐物の中にウイルスが含まれていることが多いので、他のお子さんや大人にもあっという間に感染が広まってしまいます。どんな風邪でも人にうつることがありますが、症状も熱や咳・鼻水だけではないのです。
特に子どもの場合は、嘔吐・下痢の症状が悪化すると脱水症状を引き起こすこともあるので、甘く考えてはいけない症状です。なかには、症状がおさまっても感染力が持続する病気もありますので、下痢・嘔吐の症状がある場合には受診をして下さい。また、登園の際には症状がおさまったことを確認するとともに、必ずお医者さんの許可をもらって下さい。
原因 :ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスなどによる経口・飛沫感染。」
潜伏期間:1〜3日。
予防 :うがい・手洗い。(外出後・トイレの後・食事の前・調理の前など)
排泄物や嘔吐物に素手で触れない。(使い捨てのビニール手袋などを使用)
下痢ってどんなウンチ?
普段と違う”やわらかいウンチが下痢です。1回でもやわらければ下痢です。いつもと比べて回数が多かったり、ゆるかったり、粘液や血液、不消化物がたくさん混じっていれば下痢です。下痢は回数ではなくて、便の状態によって決まります。
嘔吐・下痢をしているときの注意
嘔吐や下痢で体の水分と塩分が急激に失われると、体のバランスが崩れて脱水症になります。脱水になってしまうと家庭での水分補給だけでは回復しないので、点滴による大量の水分補給や、場合によっては入院治療が必要になることもあります。脱水を予防するためには、とにかく水分補給が一番です。ただし、糖分の多いジュースや牛乳などの乳製品・冷たい飲み物・オレンジジュースなどの柑橘類は下痢を悪化させるので、乳幼児用のイオン飲料やお茶・さ湯などが良いでしょう。
脱水の症状は、顔色が悪い・元気がなくぐったりする・皮膚の弾力がなくなる・唇がカサカサする・目のまわりがくぼむ・おしっこの量が少ないなどです。少しでもおかしいと思ったら早めの受診をおすすめします。
保育から子育てを学ぶ
夕方お迎えを待っているとき、異年齢の子どもたちがそれぞれ思い思いに遊ぶ様子は、一日の充実感が反映されているように思います。お絵かきやブロック、折り紙など、自由な表現活動をしているときには、それがよく見えます。
何かを達成して自信をつける、というより、一日を過ごした今の自分の気持ちを一つの活動に込めているのです。
大人に何かを作ってと言ってくる子どももいます。
例えば、折り紙。ゆっくりしたペースで、丁寧に折ってあげることは、子どもたちを優しくケアする意味があります。荒れたれた手先にクリームを塗って、ささくれを予防するのと同じようなことです。
白い紙に何かを書いてみること。これも、大事です。おのずと今日を振り返って、満足した体験を表現したり、明日の希望が見える作品を残してくれる子どもが多くいます。こんなとき、大人たちがちょっと働きかけるのは、一緒に想像してみるひと手間です。
「これ、なんだろう?」「これって、もしかして、○○にならない?」「あ、いいこと思いついた!」などなど。他愛もないことですが、イメージを共有して遊ぶことは、子どもの存在を丸ごと受けとめてあげる、確かな関わりです。
上手下手は関係なくて、こういうやりとりそのものが子どもの自尊感情を高めてくれるので、心のケアとなるのです。
長い目で見ると、子ども自身が自分の気持ちをちゃんとケアできるようになるために、とても大切な資質になります。
大人の方も、子どもにとって実に意味のある時間だということを想像しながら、お迎えを味わってみてください。きっと、大人にも何かが、見えてくるはずです。
(臨床心理士 青木)
食育 旬の食材の大切さ
日本には四季があり、季節ごとに「旬」の食べ物があります。その食材の味が良く一番出回る時期のことを旬といいます。人工的な栽培の普及によって一年中、手に入る食材が多い中、旬の食材は栄養価が高くて味も美味しく、値段も安いので、ご家庭でも旬の食材を意識して積極的に食べるようにしましょう。
保育園でも年長さんの味見隊やリクエストメニューなどを決めるときにも旬の話しを子どもたちにします。最初は旬の意味が難しかったようですが、だんだんと子どもたちの方から「この○○って旬だから今が一番おいしいんだよね」と嬉しそうに話してくれます。特に秋は、収穫の秋と呼ばれるように、旬のおいしい物がたくさんでてきます。これからも旬の食材を大切にし、献立に取り入れていきたいと思います。
(栄養士 佐藤)
食育 ―「umami」―は世界の共通語
甘い(甘味)、しょっぱい(塩味)、酸っぱい(酸味)、苦い(苦み)の4つの基本の味に加えて、日本人は、第5の味覚としてうま味が加わります。うま味とはコンブやかつお節、煮干し、干しシイタケなどに代表される「だし」の味のことです。
「umami」という言葉は、世界の共通語にもなっています。コンブのグルタミン酸、かつお節のイノシン酸、干しシイタケのグアニル酸が代表的なうま味の成分です。イノシン酸は魚、肉などのたんぱく質に含まれグルタミン酸は野菜のトマトにも多く含まれていて料理の味を高めています。
子どもにとっては、だしを取るのも楽しい料理体験なので、料理のおいしさが倍増する「うま味」の相乗効果をだし取りを通して体験してみてはいかがでしょうか。
(栄養士 佐藤)
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