梅雨も明け、いよいよ夏本番ですね。現在、保育園では大きな感染症の流行は見られませんが、八王子市内においてはヘルパンギーナなど、夏風邪が流行しています。また都内や八王子市内でも風疹の感染報告が増えているようです。外出や、人混みの中で過ごす機会が多くなる時期だと思いますので、うがい・手洗いを徹底するなど、ご家庭でも感染予防に十分ご注意ください。また、お休み明けに体調不良(発熱やだるい、活気が無いなど)の子が急増しています。連日の暑さもあり、子どもの体力は見た目以上に消耗しています。外出や旅行の後は、せめて1日でも自宅でゆっくりと過ごせるくらいの余裕がある夏休み計画を立ててあげてください。
熱中症対策 〜適切な予防をすれば防ぐことができます〜
熱中症とは、屋外での強い日差しの下で起きる「日射病」と、熱い室内や車内に長時間いることで起きる「熱射病」の総称です。主に脱水と、それにより体内の熱のコントロールができなくなり、体温が高くなることが原因で起こります。子どもの場合、汗や尿などによる水分排出の割合が高く、成人よりも水分不足になりやすいといわれています。
また、体重あたりの水分量が成人より多く、水分への依存度が高いため脱水が起きると重症になりやすいのです。特に、体の小さい子どもは、路面からの照り返しによる体感温度も大人とは違うので、大人が平気だと感じても、子どもに熱中症を疑う症状がないか、十分な注意を払う必要があります。一般的な予防法のほか、普段からの体力づくりも大切です。涼しい時期から外で遊び、体力をつけながら徐々に体を暑さに慣らしていくことが理想ですね。
熱中症?と思ったら・・・適切な対処をしましょう 〜意識がある場合〜
★涼しい所で休ませる
涼しく風通しのよい場所に移動し、本人が楽な姿勢で寝かせる。衣服のボタンやベルトを外す。
★水分・塩分の補給
イオン飲料など、少量の塩分が入ったもので水分補給をする。
★体を冷やす
首の後ろに保冷剤や氷、冷たいタオルなどを当てながら風を送る。
こんなときは救急車を!!
※ 救急車到着までは、子どもを動かさないようにし、水や氷で首・わきの下・足の付け根などを冷やしながら、あおぐなどして体を冷やす。
□ 意識がない・普段通りに歩けない
□ 水分の補給ができない
□ 呼吸が不規則で脈が弱い
□ 唇・爪・皮膚が青紫になっている(チアノーゼ)
□ けいれんを起こしている
□ 熱が下がらず、ますます上がっていく
熱中症にならないために
☆外に出るときは、必ず帽子をかぶる。
☆外に出る時間帯・長さ・場所を考慮する。
☆水分・塩分・休憩をこまめにとる。(のどが渇いてからでは遅い)
☆涼しい服装にする。
☆扇風機やエアコンを利用した温度調節をする。(室温28℃前後)
高温の室内や車の中でも熱中症は起こります。
絶対に、子どもをひとりにしないでください。
保育から子育てを磨く−保育には子育てのヒントがいっぱいあります−
ある児童館で、思いがけず、長房西保育園の卒園生と出会いました。その男の子は、紙で作ったお化けのお面をつけて近寄ってきて、私をじっと見つめているのです。「あ、○○くん」と思わず口にすると、その子はお面をひっぱりあげました。私は、お面越しなのに名前が浮かんできた不思議体験の方に驚いていたのですが、どうやら子どもの方も、記憶の隅から、時々保育園で見かけたらしき私のことを思い出した様子でした。おそらく彼の記憶では、私は、園庭の風景の一部にでもなっていたのではないでしょうか(笑)。
それからの彼が実に印象深かったのです。というのも、私と特別関わりが深かったお子さんではないのですが、私の記憶を保育園の風景とセットで引き出してきたせいか、次から次へと、楽しいことを思い出してご機嫌がさらに良くなったのです。私が自分の用事を済ませた帰り際に、思い切り手を振ってくれました。私を通して懐かしい保育園に手を振っていたのでしょう。
卒園して日がたてば、保育園のことを毎日思い出すわけもありませんが、ふと記憶のふたが開いたときに、こんな笑顔になる思い出がこのお子さんに詰まっていたのかと思うと、うれしくてたまりませんでした。
園の子どもたちは今、暑い日中をプール遊びで過ごし、ゆっくりと食事をして、午睡に入る毎日です。夏の保育は、この「ゆっくり」を大切に生活しながら、記憶に残る素敵な体験を重ねたいですね。
(臨床心理士 青木)
食育−流しそうめんのワザ−
流しそうめんを今年も行い、4・5歳児が竹の水路を流れるソーメンをおいしそうに食べていました。途中、お楽しみの一つにと思い、星形に切ったニンジンや短冊に見立てたキュウリを流してみました。すると、子どもたちは大喜びで、箸を使って取ろうとチャレンジしていました。ところが、箸がすべって上手くつかめません。やはり動いているものを箸で捕まえるには、かなりの技術が必要のようでした。 流しそうめんを4・5歳児限定としているのも、箸を使って流れているものを食べるという技術が必要だからです。しかし、箸の使い方も子どもによって得手不得手があったり、持っているお椀の汁が箸に集中しすぎてこぼれ落ちている事に気がつかなかったり、ソーメンを集める事に熱中しすぎて山盛りになってしまったりと、ハプニングの連続でした。それでも終了する頃には、子どものたちのお腹はスイカのように膨らんでいました。 子どもが喜ぶ様子を見ていて、楽しみながら食事をすることの大切さと、マナーや箸の使い方を伝えることの重要性を改めて感じました。ご家庭でも使い方をていねいに教えてみて下さい。
(栄養士佐藤・園長島本)
イタリアにある小さな町、レッジョ・エミリア市で生まれた乳幼児教育は、今世界中が注目しています。戦後、町の人々が一番だいじに考えたのが、子どもへの教育でした。そこから生まれた子どもたちの100の言葉と言う詩は、家庭で過ごすことが多くなるこの夏、子どもと向き合う時に役立つものと思います。
(園長 島本)
子どもたちの100の言葉
冗談じゃない。百のものはここにある。
子どもは
百のものでつくられている。
子どもは
百の言葉を
百の手を
百の思いを
百の考え方を
百の遊び方や話し方をもっている。
百、何もかもが百。
聞き方も
驚き方も愛し方も
理解し歌うときの
歓びも百。
発見すべき世界も百。
発明すべき世界も百。
夢見る世界も百。
子どもは
百の言葉をもっている。
(ほかにもいろいろ百、百、百)
けれども、その九十九は奪われる。
学校も文化も
頭と身体を分け
こう考える。
手を使わないで考えなさい。
頭を使わないでやりなさい。
話をしないで聴きなさい。
楽しまないで理解しなさい。
愛したり驚いたりするのは
イースターとクリスマスのときだけにしなさい。
こうも教える。
すでにある世界を発見しなさい。
そして百の世界から
九十九を奪ってしまう。
こうも教える
遊びと仕事
現実とファンタジー
科学と発明
空と大地
理性と夢
これらはみんな
ともにあることは
できないんだよと。
つまり、こう考える。
百のものはないと。
子どもは答える。
冗談じゃない。百のものはここにある。
ローリス・マラグッツィ
佐藤 学訳(学習院大学文学部教授・東京大学名誉教授)
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