ご入園・ご進級おめでとうございます。子どもたちにとって新しい環境での生活は、嬉しい・楽しい半面、緊張や不安で心身ともに疲れやすく、体調を崩しやすい時期でもあります。園では、ようやく落ち着いてきたと思ったところへ再び幼児クラスでインフルエンザが発症しています。身体が弱っているときや疲れているときには、様々な病気にかかりやすくなります。規則正しい生活リズムや生活環境を心がけ、毎日元気に過ごせるといいですね。
子どもたちが健康で、安全に楽しく生活できるよう、また成長に関する情報などをたくさん提供していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。感染症の情報や事故報告など保健に関するお知らせは、園内の廊下(一時保育室横)の保健コーナーに掲示してありますので、お時間のあるときに是非ご覧ください。
子どもの睡眠
近年、大人の生活パターンに合わせて就寝時間が遅くなり、夜型生活の子どもが増えています。睡眠のリズムが狂うと、
生活全般のリズムも狂い、子どもの成長や健康に悪影響を及ぼす心配があります。子どもの健康を守るためにも、ご家族全員で生活を見直してみてください。
<夜更かしをすると・・・>
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睡眠不足になる
睡眠時間は同じでも、早寝早起きをしたときと、夜更かしをしたときでは、睡眠の質が異なります。質のよい睡眠をとり、朝の光を十分に浴びることが必要です。
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生体リズムが乱れ、時差ぼけ状態に
朝の光を浴びて、体のリズムを整えないと、生体リズムはどんどん後ろにずれて、時差ボケと同じ状態になります。疲れやすい・食欲や集中力の低下などにつながります。
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感情コントロールが困難になる
慢性的な時差ボケ状態が続き、昼の活動が十分に行われないと、日中の運動量が減少します。すると、セロトニン(脳内の神経活動のバランスを維持する神経伝達物質)
の分泌が減少し、イライラしたり攻撃的になるなど、感情のコントロールが困難になってきます。
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食生活が乱れる
遅くまで起きていると、朝寝坊になり、朝食をとる時間がなくなります。深夜にものを食べる機会も多くなり、体調不良や肥満の原因にもなります。
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メラトニンの分泌が不足し、眠りにくくなる
メラトニンは、体を守る抗酸化作用を持つホルモン。眠気を促すリズム調整作用もあると考えられています。メラトニンは、夜暗くなると分泌が増えますが、
夜更かしをするといつも明るい所にいる状態になるため、分泌が抑えられてしまいます。その結果、ますます夜眠りにくく、朝起きにくくなるという悪循環に陥ります。
眠りに導くポイント6
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まず「早起き」の習慣をつける
遅寝の子を急に早寝にすることはできません。まず、遅く寝ても、朝は早く起こします。起きたら朝食をきちんと食べて、胃腸を働かせます。
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朝の光を浴びる
朝の光を浴びることで、生体時計がリセットされ、体が目覚めます。脳も体も活動を始めるので、朝食もしっかりと食べることができ、
午前中から活発に動けます。部屋のカーテンを開け、太陽の光を浴びるようにしましょう。
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昼間の活動をたっぷりと
明るい太陽の下でたくさん体を動かすと、心地よい疲労が期待できます。また、運動により、セロトニンやメラトニンの分泌も促されます。
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だらだら昼寝はやめる
夜更かしになるようなら、午睡を早めに切り上げてみましょう。昼間、いつまでも寝ていると、夜眠れずに夜更かしをするという悪循環につながります。
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おふろは適温で
健康な人の体は、夕方になると眠りにつきやすいよう、体温が下がり始めます。そこで、熱いおふろに入ると体温が上がり、
眠りにつきにくくなります。寝る直前に入るときは、ぬるめの温度にするとよいでしょう。
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入眠儀式で催眠効果を
おふろに入り、着替え・歯磨き・本を読んで寝るなどのパターンを決め、毎日繰り返します。
パターン化することで、体が眠りのリズムをつかみ、入眠しやすくなります。
保育から子育てを学ぶ−保育には子育てのヒントがいっぱいあります−
今年も4月が巡ってきましたが、先月皆さんにお便りを書いた直後に、私たちは、未曾有の出来事を経験しました。帰宅難民となった親御さんも多くおられ、停電も続きました。また、大変な苦難と哀しみに直接遭遇された方々も多くおられるかと思います。この出来事の前後で、「kokoro」の4月号の前提は、大きく変わってしまいました。
私たちを襲った震災のショックは、時間が経つほどに、日本人全ての心の奥深いところに、ずっしりと重たく刻み込まれていくように思えます。戦争体験のない世代の子育てを語ってきた私たちは、震災体験を持って、子育てを語ることになってしまった。そんな風に言えるかもしれません。
中でも、東北の子育て家族の命が沢山奪われました。被災から生き延びた人たちが今、ぽつりぽつりと「その時のこと」を語り始めています。小さな子ども達も、生き残った自分と亡くなった大切な人とを代わる代わる思い、問いかけます。なぜ自分は生きているか。「お兄ちゃんはね、僕の代わりに死んじゃったんだよ。僕はね、お兄ちゃんの分まで生きるんだよ。」悲嘆にくれる母のそばで、5才の子どもが心の支援チームの一人に語ったそうです。その人が生きていればあるはずだった未来。一緒に未来を創る大切な人のいない今を、新しい別の未来へと生きよう、何か見えてくるかもしれない、と心が変わっていくことは本当に可能なのでしょうか。決して大人が急いではいけません。でも決してあきらめないで、子どもとそして自分たち自身を信じ続けること。隣人の私たちもまた、同様に、生きる力を信じて待つことが求められるでしょう。そうあるために、私たちも、もう一度普段の生活の中にある、相手の気持ちを「察する」ことについて、見直してみることが大切に思えてなりません。「kokoro」では、特に子どもの気持ちを「察する」をテーマに、日々の保育の出来事を綴っていきたいと思います。
この一年、全てのご家族の健康と安全をkokoroから願っております。
(臨床心理士 青木紀久代)
食育−給食の安全について−
東日本大震災により原発事故が起こった影響で、野菜などの出荷制限があり、食材について不安を感じることがあると思います。汚染水が海へ流れてしまい茨城県沖などでは、コウナゴから基準値を超える放射線量が検質されました。保育園では安全確保の為、野菜を仕入れている業者さんと一緒に、産地を確認しながら仕入れています。魚介類も食材を変更したり、その必要性を検討したりしながら注文しています。業者さんに確認をすると、園で使う魚は、近海の物や太平洋沿岸の物は少ないということでした。また、「基準値を超えてしまうと港の時点で全てがストップするので、市場には出て来ないから大丈夫ですよ。心配なことがあればこちらから電話をします。」という返事をいただきました。被災地の復興支援という配慮もありますが、少なくとも子どもたちだけは、より安全な給食を食べられるようにしていきたいと思います。
(栄養士 石井日香里)
子ども目線−慣れる力は伸びる力−
新年度、泣いたり、笑ったり、子ども達は環境の変化に対して様々な表情を見せてくれています。しかし、保護者の皆さんからすると、すんなりと園生活に慣れてくれることが一番重要なことだと思いますので、私達もその期待に応えるために全力を尽くしているというのが、ちょうど今の時期です。しかし、子どもたちの中には、『自分の望んだ覚えのない環境』に急におかれ、慣れるという試練を乗り越えなければならない訳ですから、泣いたり怒ったりして、自己表現することは当然の事だし、大切なことだと考えるわけです。そう思いながら、その表現に寄り添い、注意深く見ていくと、そのこと自体が子どもの個性として見えてきたり、今までの育ちの経緯ともつながったりしてくるのです。そこから私達は、子どもたちに必要な支援の方向性を考え、一緒になってその壁を乗り越えられるようにしていきます。ですから、子どもが戸惑っている時には、成長をするチャンスも同時に存在しているということなのです。そのためにも、皆さんとの信頼関係はとても大事ですので、心配なことは保育者に遠慮なく相談していただき、子どもへは優しく、安心感の持てる関わりを心がけてください。
進級の子も含め、いつもと違う子どもたちの言動は、実はこの時期だけではありません。例えば、友だちと喧嘩をした時や何か言われた時、保育者に叱られた時、家庭で何かトラブルがあった時など、いろいろな形で何らかの情報発信をしてくれます。時には、「保育園に行きたくない。」「先生怖い」などという表現をすることがあるかもしれません。その時はどうか遠慮なく、すぐに私達に尋ねてください。大人から見て困った子どもの言動には、『その子を理解する絶好のチャンス』や『心が成長するチャンス』が潜んでいるのです。どうぞそんな時は、突き放すのではなく受けとめる言葉をかけてあげてください。
(園長 島本一男)
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