12月に入り、すっかり冬の寒さに変わりましたね。先月号でもご紹介したように、冬は様々な感染症が流行する季節です。インフルエンザをはじめ、ノロウイルスやロタウイルス、アデノウイルスなど非常に感染力の強いものは皆さんご存知かと思いますが、その他にも特定することが難しいウイルスによる感染症も数多くあります。
八王子市内では、「感染性胃腸炎」の報告が多いようです。ニュースや新聞などで取りあげられていた「マイコプラズマ」も例年より多いそうですが、近隣には「水痘(水ぼうそう)」が流行している保育施設もあるようです。西保育園でも、先週から下痢や嘔吐の症状でお休みをしているお子さんが目立ち始めました。もうすぐ年末年始の長いお休みに入り、医療機関も休診になると思いますので、気になる症状は早めに治しておくことをお勧めします。何かと忙しい時期ですが、ご家族の皆さんが元気に揃って新年を迎えられると良いですね。病気や怪我、事故などには十分気をつけて、ゆっくりと楽しい年末年始をお過ごしください。
感染性胃腸炎とは
「ウイルスの感染によって起こる流行性の嘔吐・下痢」です。「ウイルス性の胃腸炎」や「お腹の風邪」と診断されることが多いかと思います。「感染力が弱いから人にうつらない」とは限らず、特に小さい子どもや、疲れ・体調不良などによって抵抗力が弱っている人には感染する可能性が十分に考えられます。どのウイルスによる胃腸炎の場合でも、嘔吐・下痢は他の人にうつる病気です。嘔吐下痢の多くは、集団生活では次々にうつってしまいます。診察・治療を受ける際、医師に集団生活をしている旨を必ず伝えてください。医師の許可があれば朝の受け入れは可能ですが、保育中に下痢や嘔吐があった場合にはご連絡させていただきますので、早急なお迎えの対応をお願いします。登園基準の詳細に関しては、入園式で配布した「保健衛生のしおり」を再度見直し、確認をお願いいたします。
下痢のときの食べ物
下痢を治すには、薬だけではなく家庭での水分補給と食事療法が大切になります。下痢をしているお子さんの食事のメニューを見てみると、普段通りの食事(お肉類や揚げ物、油分の多いものなど)をしているご家庭が多く見受けられます。保護者の皆さんが下痢をしている時や体調不良の時、何を食べたり飲んでいますか?
子どもは、もともと消化機能が未熟ですので、大人以上に食事の配慮が必要になります。食欲がなければ無理に食べさせる必要はありませんが、欲しがるようなら「消化のよいものをいつもより少なめに」がポイントです。では、何を食べさせたらよいのでしょうか?食事の目安は、便の状態と相談です。
水のような便のとき: |
水分を中心に。(白湯・麦茶・小児用イオン飲料など、ぬるめの温度のもの)野菜スープ・味噌汁・重湯・りんごのすりおろしなど。 |
ドロドロの便のとき: |
豆腐・パン粥・バナナの裏ごし・にんじんやかぼちゃの煮つぶしなど。 |
軟らかい便のとき: |
お粥・雑炊・煮込みうどん・白身魚の煮つけ・卵・鶏のささみ・野菜の煮つけなど。 |
<避けたい食べ物・飲み物>
柑橘類の果汁・炭酸飲料や糖分を多く含むジュース・冷たい飲み物・乳製品・油っこいもの・繊維の多いもの(海草・きのこ・ごぼう・たけのこ・セロリ・豆類・芋類など)
※症状が改善しても、胃腸の働きはとても疲れた状態です。急に普通の食事に戻してしまうと再びぶり返す可能性もありますので、様子を見ながら少しずつ食事形態を戻してあげてください。
保育から子育てを磨く−保育には子育てのヒントがいっぱいあります−
年の瀬となりました。3月の大地震から、ばたばたと新年度を迎えましたが、大切な人を失う悲しみを、今も沢山の人が抱えて生活されています。
私は、縁あって、月に一回、乳幼児健診の支援をしに東北に通っています。普段お母さん方とペンギン広場やベビーマッサージでお話しするように、kokoroの相談をします。震災の時に、妊娠した身体で必死に避難しながら生まれたお子さんのこと。避難所にうまく入れなくて、1か月近く家族で車中泊していたときのお子さんの様子。どのお母さんも、その時まで、自分のことを語る機会はほとんどなく、とにかく家族のために必死だったと話されます。そして何とか毎日の生活のめどが立った頃、昼間に、子どもと二人だけで過ごしていると、ふとしたことで涙がこぼれてしまったり、悲しい気持ちがおそってきたりして、そんな顔を子どもに見せてしまって、悪い影響はないのだろうかと、心配されていました。
育児に煮詰まって、抑うつ的な気持ちになるのは、誰でも普通なことです。でも、本当に一家の大変なとき、自分のことは万事後回しにし続けて、子どもを守ろうとしたお母さんたち。心と体が悲鳴を上げて当然です。本当に、お疲れ様。まず、心からその一言を伝えるところから、相談は始まりました。避難所や県外自主避難をした家族は保育園になかなか通うことができません。
この「お疲れ様」という気持ち、園のお母さんなら、きっと瞬時に共感していただくことができるものだと思います。そして、何気なく「お疲れ様」といつも言葉をもらい、元気になれる安全基地として、長房西保育園があることでしょう。
私は相談支援を行いながら、この園を思いました。地域の中に、子育ての安全基地としてあり続けるこの園の使命と意義を、あらためて考えさせられました。
皆さま 一年間本当にお疲れ様でした。どうか良い年をお迎えください。
(臨床心理士 青木)
食育−地産地消−
3月の震災以降、放射線の影響により、食材の産地などを気にされているご家庭も増えていると思います。私たち給食室でも、子どもたちが毎日食べるものですから、常に業者の方と産地の確認しながら、時には指定をして注文をしていますので、何か知りたいことがありましたら気軽の声をかけてください。
また、地産地消はもちろん、自分の住んでいる町で育った野菜を食べることによって、八王子の旬を覚えてもらおうと思い、保育園の近くの農家の方にお願いをして、無農薬の野菜を月に数回届けてもらっています。最近では、子どもたちにも触れられるように泥つきの人参を仕入れ、洗ってもらい、その日の給食に使用するという活動も行いました。このような活動を通して、子どもたちは給食をより楽しみにしてくれるようになったり、苦手な子も「自分が洗った!!」という気持ちから喜んで食べている姿を見ることもありました。また、届けてもらった朝採りの野菜を、子どもたちがすぐに漬物にして食べるという活動からは、新鮮な野菜の甘みを感じる事もできました。今後も地域とつながり、安全でおいしい野菜をたくさん使い、子どもたちに食の楽しさを伝えていきたいと思っています。
(栄養士 石井)
子ども目線―子どもを見る目と子どもの幸せな時間づくり―
保育2期は、『運動会』、『お楽しみ会』と自分の子どもを集団の中で見る大きな行事がありました。このような行事を行う時、私たちが一番配慮していることは、子どもたちを比較しないで自分の子どもの素晴らしさを少しでも多く見つけられるようにすることです。こう説明すると簡単そうですが、保護者の方々が見てくださるというプレッシャーをバネに、一人の育ちの素晴らしさを少しでもよく見えるようにする行事というのは、とても難しいものがあります。なぜなら、保護者の方々から「すごいわね」という出来栄えの賞賛は、時として子どもに対する褒め言葉から『保育者の集団を動かす指導力』に目が向けられ、場合によっては保育者のお手柄と入れ替わる危険があるからです。これは一歩間違えると、子どもへの無理な要求がどんどんエスカレートする方向にもつながっています。
しかし、今期、保護者の方々からいただいたこの2つの行事の感想は、とっても感動的でした。それは、自分の子どもの姿を個性としてにこやかに受け止め、他の子どもたちの育ちまでも一緒に喜んでいただいているという記述がたくさんあったからです。私たちの子どもたちを見る目が育つと、子どもたちの幸せな時間は確実に増えていきます。
(園長 島本)
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